僕は数か月前に、オーディオプレーヤーを新しく買い直した。
それがこの「SONY」NW-ZX300だ。
購入してしばらく使用し比較的操作や音質にも慣れてきたので、今回はこの機種についてレビューしてみようと思う。
NW-ZX300を購入した理由
僕は音楽プレーヤーに関しては20年続けてSONYを使い続けており、このNW-ZX300を購入する前は前機種のNW-ZX100を使用していた。
ZX100を使用して5年目、そろそろバッテリーがへばってきたので買い替えを検討していた。
ZXシリーズの最新機種として現在販売されているのは、このZX-500だ。
しかしこのZX-500にはandroidが搭載されており、純粋にプレイヤーに入っている音楽を聴く目的で今までウォークマンを使用していた僕としては、いまいち購買欲が湧かなった。
なによりandroidなど機能を搭載すれば、それだけバッテリー持ちは悪くなる。
そこで今回は、このNW-ZX300を購入した。
ZX-100と大きさはさほど変わらず、本体重量は157g。ペットボトル1本分だ。
オーディオプレーヤーとして決して軽いわけではないが、充分携帯できる重さ。
大きな特徴としてはディスプレイが本体全面に広がり、タッチパネル式になった事だ。
これは慣れの問題だろうが、物理ボタンに慣れていた僕としてはイマイチまだしっくりこない。
左右のと真ん中の決定ボタンですんなり曲をセレクトできていた、ZX-300の感じを超えられるだろうか。
裏面はZX-100のようなホールドできるでっぱりが無くなり、スリムな印象。
僕はウォークマンを普段ケースに入れて持ち歩くため、筐体のデザインに対してそこまでこだわりがない。
しかし一般的に見てもスマートな印象があるデザインなのではないだろうか。
そして筐体上部にはジャックが二つあり、バランス接続とアンバランス接続に対応。
音の表現が豊かになるバランス接続に対応している点は、嬉しい部分だ。
普段は武蔵野レーベルの専用レザーカバーをつけて使用している。
安心感と共にレザーの手触りがとても心地よい。
NW ZX-300を購入して良かった点(サウンド面)
聴いたことの無い音が聴こえる様になった
一番はなんといってもこれだ。
今までのプレーヤーでは、注意しないと聞き逃してしまうような音が、しっかりと耳に入るようになった。
例えばつんざくようなアコースティックギターの音だったり、繊細なハイハットのリズム。
聴いたことのないようなシンセサイザーのメロディ。
何百回と聞いたような音源にでさえ、「こんな音が鳴っていたんだ」と驚くサウンド。
聞き慣れ親しんだ曲に新しい発見をもたらしてくれ、音楽を聴く楽しさに気づかされる。
聴き疲れしない音
前機種のZX-100は、いわゆるSONY特有の「元気な音」が鳴るようなプレイヤーだった。
全ての音が全力で鳴っている感じで、楽しい音ではあるものの、長時間聴いていると聞き疲れする部分もあった。
それに比べZX-300は音の輪郭をしっかりと捉えていながら、澄んだような中音域も聴かせてくれる。
かといって低音が弱いわけでもなく、豊かで迫力のある低音と、広大な中高域が上手く混ざり合った音を響かせてくれている印象。
音がぶつかってくる感じをうけず、一つひとつの音が丁寧に耳に流れてくるような、聴き疲れしない音像だ。
この時代で自宅の作業などが多くなり、音楽を長時間聴く機会も増えた。
ZX-300は、ストレスの無いリスニング環境をもたらしてくれている。
音の景色を感じる事ができる
ZX-300は豊かな空間描写を感じる事のできるプレイヤーだ。
バランス接続に対応しており、より豊かなサウンド表現を感じることが出来るようになった。
こちらの「ゼンハイザーHD 660 S」をバランス接続して、聴いてみる。
今までのプレイヤーは確かに良い音で鳴っていたが、音が直接的に耳に入ってくる感じだった。
このZX-300をバランス接続で聴いてみると、頭の中に一つの空間が出来上がるようなイメージだ。
音の広がりが豊かで、尚且つ音の出所が広範囲に広がっている印象。
狭い場所で演奏されていた楽器たちが、ゆとりを持ったスタジオで伸び伸びと音を奏でているイメージに近い。演奏者の表情が思い浮かぶような、豊かな音場が広がる。
現在の最上位レベル機種であるNW-WM1Aに対して、しっかり肉薄する様な音を聴かせてくれる。
こちらの機種は音質の向上と携帯性がトレードオフとなっているので、ZX-300の方が総合的に優れているのではないだろうか。
NW-WM1Aも、近いうちにレビューしてみたい。
ZX-300は、一つひとつの音を追いかける楽しみを与えてくれる。
次の音が楽しみになるようなサウンドを鳴らしてくれる機種だ。
NW ZX-300を購入して良かった点(操作面)
指紋が付きにくい
先ほども少し触れたが、ディスプレイがタッチパネルになり、表面はマットなガラス仕様になっている。
タッチパネルの難点として、画面が指紋で汚れやすい点が挙げられるが、このZX-300のノングレア仕様は指紋がつく心配がない。
手触りもツルツル滑る様な感じではなく、マットな手触り感で心地が良い。
タッチパネルになったが、こういった部分に気遣ってくれるのは嬉しい。
イコライザーが細かく、再生場面から飛べる
このZX-300は種類が豊富な再生設定も特徴で、なかでもイコライザーは使いやすい。
タッチパネル式で直感的に操作でき、自分好みの音質を見つけることが出来る。
僕は結構この仕様が好きで、よくいじったりしている。
そんなイコライザーは大体、設定画面からしか変更はできないものだ。
しかしこのZX-300は再生画面を下にスワイプすると、イコライザー画面に飛ぶことが出来る。
その状態で左右にスワイプすると音質をアップスケーリングしてくれるDSEE HXだったり、アナログアンプの音質に近づけてくれるDCフェーズリニアライザーも操作することが出来る。
音楽が好きな人はイコライザーにこだわる人が多く、このかゆいところに手が届くこの機能は嬉しい。
このアーティストのこの曲は少し高音域をはっきり聴きたい、このアルバムは落ち着いた印象で耳にしたい、といった様な「あったらいいな」が簡単にできる。
NW ZX-300の少し残念だった点
起動が遅い
これは仕方がないのかもしれないが、かなり起動が遅いと感じる。
以前使用していたZX-100は電源ボタンを長押しすれば遅くとも10秒前後で操作可能になったが
このZX-300はデータベースを全て読み込むまで、下手すると30秒程度かかる。
もちろん良い音を聴かせてくれている為に大きな不満には感じないが、やはり少しだけ気分が落ちる。「よし、あの曲聴きたい!」と起動させてからのラグがある部分が、やや残念だった。
メニュー画面が使いづらい
これも小さい事だが、再生画面で左にスワイプするとしっかり1曲の画面からアルバム曲順の画面に移ってくれる。じゃあ他の曲も聴きたいからもう一度スワイプしてアーティストを選びたい…と思っても
これができない。アルバムの画面で止まってしまうのだ。
アルバム画面まで飛ばせるのだから、もう少し工夫して選びやすくしてほしかった所。
ちなみにアーティスト画面に移動するには
「画面左下の↩ボタンを押し→トップ画面に戻り→そこからアーティスト選択しなければならない」
結構これには地味に小さなストレスが溜まり、快適とは言えない。
曲→アルバムときたら、次はアーティスト選択ではないのだろうか?
シャッフルリピートが押されてしまう
最後も画面問題。
再生画面中央下の再生ボタンの両端に前曲リピートや1曲リピートボタンや繰り返しボタンが配置されている。
ボタン自体が再生ボタン同様にかなり小さいため、操作の度に誤って押されてしまったりする。
この部分だけロックをかける方法が無く、ホールドを押すと画面全体に及んでしまう。
なぜこの部分にこの二つのボタンを配置したのがイマイチわからない。
自分がリピート再生をしない派だからかもしれないが、ここも小さなストレスになっている。
NW ZX-300はかなり満足できるプレイヤー
実際数か月使用してみて、良い点悪い点を含め使用感をレビューしてみた。
ただ音は正直言ってかなり良い出来だと思っている。
ただ明瞭な音像ではなく、原曲を丁寧に再現してくれるようなニュアンスがヘッドフォンから伝わってくる。
もうこれ以上音質は上がらないのではないかという感覚を、SONYはいつも超えてきてくれる。
(もちろん一般音楽好きの素人感覚でだが)
コストパフォーマンスや携帯性にも優れていて、おススメできるプレイヤーだと考えている。
発売から3年ほど経つ為いい具合に価格も下がり、久々によいガジェットを購入できた。
自宅で過ごす時間が長い今の時代。
NW-ZX300の音を感じて、日々の音楽生活を更に充実させるのも良いかもしれない。
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