クマログ

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【Mr.Children】 音楽の魔法にかけられて『SUPERMARKET FANTASY編』

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こんにちは、kumaです。


いよいよMr.ChildrenのPOP再検証も終盤に差し掛かってきました。

www.housework-kuma.com


『HOME』で聴き手との共有を完全に果たした彼ら。
今度はどんな音楽を私たちに見せてくれるのでしょうか。



Mr.Childrenが好きなら絶対知ってほしい。彼らのPOPミュージックへの挑戦 SUPERMARKET FANTASY編』



全てを受け入れた強さが持つ物

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『HOME』で彼らが到達した一つの着地点。
自分たちのエゴを歌う音楽は終わりを告げました。

聴き手に全てを委ね、消化する力を信じたあのスタジアムツアー。


以前は自身が音楽産業として消費されていく事に虚しさを感じていた彼ら。
その結果としてMr.childrenという虚像は大きくなっていきました。


しかし今の彼らは全く別です。
消費されていく喜びを受け入れ、自らも楽しむ事が出来るようになりました。

今回のアルバムって凄い大きなタイアップがついていたり、あとはどの曲も聴き手に消費されることを宿命としてというか、そこに生きがいを感じてやっていて。
じゃあ消費されるものが全部悪いのかっていったらそうじゃなくて、そこから心が動かされるものがあると信じて音楽を作っているので。
MUSICA 2009年1月号 インタビューより

このアルバムが発売された時のことをよく覚えています。
ターミナル駅の大型ビジョンに映るプロモーション映像、雑誌発売、CM、テレビ出演…

Mr.childrenという恵まれた武器を最大限に活かした宣伝。
以前であれば、産業の中の虚像としてしか捉える事ができなかった自分たちの姿。

『シフクノオト』『I LOVE U』『HOME』という作品で自身の内省的な面を肯定し、他者へ向けた力を与えられる様な存在へと彼らは成長を遂げました。

今は自分たちの過去を認める事ができ、一人でも多くの人にこの音楽を届けたいという気持ちで溢れています。

音楽の力を信じ、聴き手に全てを委ねる。

絵空事を信じる力

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このアルバムには歌詞やサウンド、アートワークなど様々な所に前向きで明るい力が溢れています。

これまでのMr.Childrenが見せてきた『光と闇』『希望と絶望』
対比で表すことをせずとも、プラスのイメージを肯定する事の大切さを音楽を通して伝えてくれます。


ライブで見る彼らは、音楽を心から楽しむ少年の様な笑顔を見せます。

飛び跳ね、首を振り乱し、ステージを全力で駆け回る。

聴き手を楽しませる事に全ての力を注ぐ彼ら。笑顔と音楽で満たされた空間。


SUPERMARKET FANTASYには『エソラ』というリード曲が収録されています。


イントロのフレーズをサビ前で繰り返すブリッジが印象的なこの曲。
歌詞が決まらず、デザイナーのアルバムアートワークからイメージが引っ張られてきたといいます。

キラキラした希望に満ち溢れている、POPミュージックの理想的な一つの形。


イントロが鳴り始めた瞬間、聴き手の顔は笑顔で溢れます。

一体感、高揚感、開放感。

Mr.Childrenの過去の楽曲の中で、こんなにも一体感が生まれる曲があったてしょうか。

まるで音楽の魔法にかかったように、歌い手と聴き手が一つになります。

天気予報によれば 夕方からの 降水確率はあがっている
でも雨に濡れぬ場所を探すより 星空を信じて出かけよう

これまでMr.Childrenの楽曲の中で『雨』には、避けたい気持ちや超えなくてはいけない物が表れていました。

しかし今はそんな雨に打たれても彼らにそんな気持ちは生まれていません。

心の有り様でこんなにも美しい物に変わるという前向きなメッセージが込められています。

やがて音楽は鳴りやむと分かっていて
それでも僕らは今日を踊り続けている

忘れない為に 記憶から消す為に
Oh Rock me baby tonight
また新しいステップを踏むんだ


生きていれば辛いことが待っている日々もある
そうわかっていてもこの瞬間だけは
音楽の力を信じて、踊っていたい

忘れない為に(人生の大切な事を)
記憶から消すために(辛いことや悲しい事を)


Rock me babyという力強さと優しさを持った言葉。
いつかは終わりがくるという刹那的な気持ちを超え、今この瞬間を最高に楽しむ。

そんな魔法の言葉を、聴き手の好きな様に叫んでくれ!という彼らのメッセージ。

これは楽しさを感じたいという、単なる欲求(エゴ)を消化する歌ではありません。

前に進む勇気が欲しい
辛さを受け入れたい
愛する人への気持ちを表したい
世の中の嘘や虚しさ、苦しみを吐き出したい
日常の大切さを胸に確かめたい

人々はその全ての願いをMr.Childrenに託し、それぞれの人生に消化してきました。
1人ひとりの胸の中にMr.Childrenがあるのです。


それをMr.Childrenという虚構で一身に引き受けた、彼ら4人。

そんな希望や絶望を受容してきた彼らが放つ音楽の魔法。

それがエソラの全てです。


彼らは最後に私たちへ、こう呼びかけます。

さあもっとボリュームをあげるんだ。


youtu.be


ポップで在り続ける事の潔さ

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彼らの今の在り方表す楽曲の一つ。
それが『ロックンロール』です。

桜井さんの完全個人趣味ですが、クイーンのフレディ・マーキュリーの影響を受けているこの曲。

ギターソロはブライアン・メイまんまの表現です。趣味全開でレコーディングを楽しむ桜井さんの姿が目に浮かびます。

タイトルはロックンロールです。
しかし特別不安な内省を唄う曲でも、何かに不満をぶつける曲でもありません、

ただ奔放な生き方に憧れる主人公。

R&Rの音に溺れて
今日もヘッドフォンのボリュームを上げる
わかってるよ わかってるよ 今の暮らしが一番似合っている
わかってるよ わかってるよ 決して一人じゃ人は生きていけない

I LOVE YOU

自分たちは日常を鳴らす人間で、心の何処かでは虚像に憧れている。
けれど自分が音楽を続けられるのは、周りの全ての人間に支えられてこそ。


最後に出てくる特別な言葉「I LOVE YOU」
この言葉に曲の全てが詰まっています。

この愛の言葉は、単に相手への好意を伝える言葉ではありません。

一人では生きていけない、誰かに支えられて今日も自分は生きている。音楽を続けてられている。


エソラのRock me babyという言葉も同じですね。

Rock meという言葉には『感動』『揺れる気持ち』という力強い意味が込められています。

Queenの『We Will Rock You』という曲は、『お前たちの心を動かしてやる!』という内容ですよね。

弱さを肯定したからこそ出せる、シンプルで力強いワード。

他者、想い、自身、人生。
全てに向けての愛情を示した、心の叫びです。


繰り返しになりますがこのアルバムは自らが消費される事を肯定し、自由に音楽を感じて欲しい。

そして私たちのエゴではなく、あなたたちの声が聞きたいという思いで溢れています。


時代と共にシーンを駆け抜け、音楽と誠実に向き合ってきた彼ら。
音楽配信、フェスの流行に伴う打ち込み音楽の流行、アーティストのガラパゴス化

そんな時代にあっても、POP再検証の使命を全うしていく彼ら。


彼らはロックミュージシャンでは無いと公言しています。日常をを唄うポップミュージシャン。

『羊、吠える』という曲でその心情が表されています。

狼の血筋じゃないから、いっそ羊の声で吠える
「馬鹿みたい」と笑う君に 気付かぬ振りをしながら

ミスチルはいつまでそんな事やってんだ。そう揶揄される事だってある。
けれど私たちは自分の信じた道を進む。

世界の経済がどうなるかわかんないっていう時に、20代そこそこのバンドの内面の吐露とか不安とか迷いみたいなものを、金出して聴きたくないなっていうのはあって。
MUSICA 2009年1月号 インタビューより

ひとつのバンドのスタイルとしての、嘆きソング、迷いソングみたいなものは、あぁうんざりするなと思っていて…

聴いててワクワクするもの、明日に希望が持てるようなもの、モノクロームの日常の中にいても音楽を聴いてる瞬間だけ景色が凄くカラフルに見えてくるようなものがいいなと僕は思っていて。
MUSICA 2009年1月号 インタビューより

最高に突き抜けたポップミュージックを奏でる事が、結果的として世に溢れるロックへのカウンターになる。

これはHOMEの時代から体現してきた手法です。

少し憎みながら 深く愛しながら

そこには、音楽に希望を持てるような感覚をリスナーに与えてこなかった、音楽産業に対しての思いが内包されています。


この曲で田原さんが使用しているギターは15周年のメンバーへのプレゼントとして、スタッフから送られた物。
1本の木からメンバー4人分のギターを作っている物で、田原さん曰く「凄くいい音が鳴った」との事。

私の好きな、心温まるエピソードです。


君の声が聞きたい

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人は一人では生きていけない。

彼らはそう歌っています。

では彼らにとって、そんな迷いや弱さを補ってくれる存在は何なのか。


それは聴き手です。

この街にあふれてる スピーカーから流れてる
でも君にぴったりの歌を 僕は探している

消費される音楽はこの世の中に多く存在している。けれど、あなたに響く歌だけを届けたい。

昔は嫌いだった なんか照れくさかった
でも誰かに好かれたかった
ファルセット出なかった ハモるの下手だった
だけど三度下を歌いたかった

昔は自分の事しか考えられず、あなたの気持ち(サビ)に寄り添う事ができなかった。


『声』という曲は、ライブでサビを全て会場に任せます。

聴き手が自分を補完してくれる事を信じ切っているから、サビを全て歌わせる。

時には悲しんだり 時には喜んだり
君が鳴らす音楽に そっと寄り添っていたい

あなたの人生の場面を支える存在になりたい。

別に巧くなくていい 声が枯れてたっていい
受け止めてくれる誰かが その声を待っている

これは聴き手と自身、両者に向けて言い聞かせています。

自分を受容してくれる大切な存在がいる。
その人もまた、私の事を必要としている。

相手の声を聞くことで、自分の存在や意味を確認できるから。
だから今は歌う事が好きで、もっと歌が上手くなりたいと思っている。

僕のライブに対するモチベーションの低さにも繋がるんだろうと思うけど。もう音楽聴けば伝わるなと思ってて。「バンドが演奏しなくても、聴きゃあわかんじゃん」っていう。そこでパフォーマンスすることが、逆にちゃんと伝わることの妨げになんなきゃいいなとも思ってる
rockin on JAPAN 2004年04月 Vol.260 桜井和寿発言より引用

僕はやっぱりどうしようもなくコミュニケーションを取りたいと思っている人間で、そうやって自分の存在意義みたいなものを見出して嬉しくなって生きているんだと思う。そこに対して、今は正直に誠実でありたい。
MUSICA 2009年1月号 インタビューより


『シフクノオト』『I LOVE U』『HOME』
世に出してきた内省的な3枚のアルバムを経て、彼はこうも変わっていきました。


以前とは違う自我の開放とでも言うべきでしょうか。
今その思いは、会場を紛れもなく1つにする音楽の力を私たちに見せてくれます。


youtu.be

音楽の贈り物

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このアルバムが発売された頃の事を思い出しました。
明るくポップなアルバムでタイアップ曲がたくさんついている。
けれどボリュームが多い感じで、今までのアルバムと比べるとお腹いっぱいになるという印象でした。

それはきっとアルバムのバランスやらカルチャーとしての視点だったりと、物事を小難しく考えていた自分がいたからです。


けれどそれはライブが始まった瞬間、全て吹き飛びました。


そんな事はどうでもいいくらいに音楽の魔法にかかっている自分に気付く。

今までのMr.childrenは、暗闇の中から如何に手を伸ばすか。
そんな希望へのイメージを聴き手にもたらしてくれていました。


だけどこのアルバムはまったく違う。

始めから終わりまで、宙を飛んでいました。


イメージの虹へ、音楽に包まれながらどこまでも飛んでいけるような。
そんな時間。


日常を過ごす中で忘れかけていた思いを、彼らから貰う事ができました。
そんな気持ちを誰かに贈ることができたなら。

一番きれいな色ってなんだろう?
一番ひかってるものってなんだろう?

僕は抱きしめる 君がくれたGIFTを
いつまでも胸の奥で ほらひかってるんだよ
ひかり続けんだよ

私の日常にまたひとつ、小さな喜びが生まれた。

今ではそんな大切な1枚になっています。

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