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【Mr.Children】夢と現実。両極の可能性を全ての力を使い聴き手に投げた大傑作!『REFLECTION 第三部 未来へ託す夢編』

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こんにちは、kumaです。


前回は未完ツアーのテーマである、傷ついた鳥が大空へ飛び立つイメージ。
そして、未完の旅へ歩き始めた彼らの姿を追っていきました。

www.housework-kuma.com


今回で考察は終わりです。
彼らは地平線の向こうに、どんな希望の夢を見出したのか!

一緒に見ていきましょう。


『REFLECTION 第三部 未来へ託す夢編』

運命に導かれて

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前回の未完のくだりでお伝えしましたが、桜井さんは現状のMr.Children危機感を抱いています。

前作のツアーでは失恋の歌が多かったですね。
嫌な夢に苛まれています。(聴き手が離れていく暗示)

自分の力不足により大切な人(聴き手)は離れていってしまった。
こんな自分を見せていたら、信頼する仲間(スタッフ)も離れていってしまうと。

だから今までのMr.Children既成概念を壊し、自分をさらけ出しているんです。


全力で歌を届け、曲も内容も全てを出し切った作品。その意志がこのアルバムには表れています。


まっさらな気持ちでいるから、聴き手に初めて出会った様な表現や歌の内容が見え隠れします。


この『運命』も、そんな新鮮な風が吹いている印象を受ける曲です。

招かざる客で当面 構いはしないけど
いつの日か君のベートーベン「運命」奏でよう

物語などでよく登場する『招かざる客』という表現。
敵や異世界の存在であったり、今の自分にとって好ましくない相手という表現で、映画や本で描かれます。

ここでは大切な人との関係性が無くなった所からのスタートというイメージでしょうか。

それとも夢と現実、2つの世界が繋がった中で初めて出会った相手だからでしょうか。

僕が導くこの道の先には虹が架かっているよ
疑うんなら付いて来てごらん 手を取って

主人公には、この道の行く先がどんな景色か見えている様です。

惚れた腫れたの恋愛をバカにしてたのです
浅はかで欲深いと鼻で笑ってた

昔の青臭い自分や恋なんて馬鹿にしていた。
けれどそれは相手に向き合う前に、自分と向き合えていないから。

今までもスタジアムツアーで初期の曲を演奏するのは、ある意味お約束でした。

しかしこのツアーで演奏した『CHILDREN'S WORLD』は今までのそれとはどこか違う。

昔を懐かしむというより、まっさらで真っ直ぐな気持ちを持ち唄う歌。

数えきれない夢を抱えて ドキドキしている

今の彼らは、ライブハウスで観客に夢を歌いかけるあの頃と何も変わってはいませんでした。




頭の中はメリーゴーランド キラキラしてる

桜井さんがメリーゴーランドの表現を使うのは、夢を表す際のイメージです。
(シフクノオト製作風景DVD Pink〜奇妙な夢 より)

君が涙を流すのを遠くで見てた
なんせ君はまだ僕の恋人じゃない

聴き手と離れてしまったイメージ。
相手が泣いているのは自我に苦しんでいるからか、立ちいかない現実に嘆いているからか。

そんな時の為に洗い立てのハンカチを持ち歩くよ
さりげなく差し出す用意して待つよ

誰かが特別喜ぶでもない。
けれど街にある自動販売機の様に、そっとあなたの足元を照らしていたい。

POP再検証の頃に唄った気持ちと、聴き手への思いは何も変わっていません。


映像作品のパッケージ内にあるデザインは、両面に男の子(歌い手)と女の子(聴き手)が描かれています。

現実に溢れる物質や欲望に負け、自我を見失いそうになった時。
未来に羽ばたける筈の鳥が、欲望や自我に負けてモンスターになりそうな時。

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そっとその涙を受け止めて、手を差し伸べられる存在になりたい。
そんな歌い手の優しいメッセージが込められています。

乗ってる車こそ違っても
僕らは同じ道を走ってる
めぐりめぐり そして揺り揺られ
不可思議なこの恋はもしや運命⁉
絶対運命そう思います

私たちは夢と現実ですれ違っている。
けれど目指すべき所は同じ筈。

自身の運命を信じて、彼らは未来をノックし続けます。

2つの世界に耳を澄ませて

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夢と現実の世界から未来を探し出す。

何かに運命に導かれて旅を続けていきます。

そんな彼らを呼ぶ2つの声。
まるで導くように『幻聴』が聴こえてきます。


この歌は夢と現実を表しています。

桜井さんが好きな二項対立が、これでもかとばかりに明確に使われています。

観覧車に乗っかった時に目にしたのは 地平線のある景色
そこで僕は手に入れたんだ 遮るもののない 果てなく広がる世界

夢から夢へと橋を架けて渡る
そんなイメージが駆け巡り

1番は夢のイメージ。

夢の中で無限に広がる希望に、胸を高鳴らせています。

向こうで手招くのは宝島などじゃなく
人懐っこくて 優しくて 暖かな誰かの微笑み
遠くで すぐそばで 僕を呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ

地平線の向こうで自分を呼ぶのは、お金でも成功でもない。
あなたの優しい笑顔が見える。

彼にとって聴き手は、普段滅多に出会えない夢の様な存在です。(私たちにとっても同様)

だからそんな『あなた』を夢のイメージに喩えていますね。



切り札を隠し持っているように思わせてるカードは
実際は何の効力もない
だけど捨てないで持ってれば
何かの意味を持つ可能性はなくない

一歩 また一歩 確実に進む
そんなイメージも忘れずに

対する2番は現実のイメージ。

夢の様に物事は上手くいかない事。夢に溺れては道を踏み外してしまう。
そんな現実を大切にする感覚。

僕を手招くのは華やかな場所じゃなく
口下手で 人見知りで ちょっと寂しがりやの溜息
遠くで すぐそばで 君の呼ぶ声がする
そんな幻聴に 耳を澄まし追いかけるよ

決して煌びやかな場所じゃないけど、そこには君がいる。

2番は現実を表しています。
とすると…夢の聴き手との対比で、日常感がある存在。

そう、一番近い場所にいる大切なメンバー3人を表しています。

3人がどの表現で表されているかは…皆さんの心の中の答えにお任せします。


大切な2つの存在に導かれ、彼は進んでいきます。

託すべき優しい夢

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彼の中で夢は覚めるべき物でもあり、そして希望をもって超えて行くものでもありました。

自信を無くし打ちひしがれた。
自分らしくありたいと渇望した。
もう一度あなたに会いたいと地平線を望んだ。


自分は成し遂げられないかもしれない。
けれど、願いを繋げる事の大切さを伝えたい。


『進化論』では、そんな希望を込めた思いを歌っています。

「強く望む」ことが世代を超えて
いつしか形になるなら この命も無駄じゃない

夢の様に桜井さんは、願っていました。
それが自分の手では叶えられなくても、次の世代に繋げたい。


桜井さんはこのアルバムで
自分が生きている事に感謝をしたり、他者から愛される事の喜びこそが大切と歌っています。

だからそれを伝えたい。

残酷に過ぎる時間の中で きっと十分に僕も大人になったんだ
悲しくはない 切なさもない
ただこうして繰り返されてきたことが
そうこうして繰り返していくことが
嬉しい 愛しい

『HERO』で感じた、命が繋がっていく喜び。
自分の為に唄うのではなく、誰かの『これから』になる為に唄う。

今彼はその夢を伝える為に、音楽に向き合っているんでしょう。

空を飛び 海を渡り 僕らの夢はまだ膨らむ
誰も傷つけない 優しい夢を 素敵な夢を
君に引き継げるかな?

欲望に負けて自分を見失う様な、おぼろげな幻想ではない。
あなたに伝えたいのは、優しくて希望に溢れた夢。

描かずに消した 読まずに伏せた
夢をもう一度広げよう

軌道を逸れて萎んでいった夢。ゴミ箱に投げ捨てた夢。
ページは汚れてしまったかもしれないけれど、まだ描き続けたい未来がある。

そんな気持ちが、彼に蘇りました。

www.youtube.com


自分を超えて行く足音

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彼らは力強い『足音』響かせ、歩いていきます。

舗装された道を選んで歩いていくだけ
そんな日々 だけど もうやめたいんだ
今日はそんな気がしてる

この曲は新しいMr.Childrenを始める大切な曲です。
今までの自分から、まっさらな気持ちで前を見つめて歩く。

『SENSE』で区切りをつけ『[(an imitation) blood orange]』で暗がりに迷った彼。

彼はユニフォームを脱ぎ捨てました。
自分を表すIDカードや、心を守っていた既成概念を打ち砕く。

夢見てた未来は
それほど離れちゃいない
また一歩 次の一歩 足音を踏み鳴らせ!
時には灯のない 寂しい夜が来たって
この足音を聞いてる 誰かがきっといる

少し前には道化(まがい物の虚像)を演じて、ほどけていた靴ひも。
そんな靴ひもを結びなおして、飾り気の無い服を選んで一歩を進める。

もう怖がんないで 怯まないで 失敗なんかしたっていい
拒まないで 歪めないで 巻き起こってる
すべてのことを真っす直ぐに受け止めたい

独立という現実の試練や、夢に逃げそうな自分の心の弱さに打ち勝つ。

だから現実も夢も欲望も、すべての事を真っすぐに受け止めたいと歌っているんです。


この未完ツアーでは、同じようなテーマを持った『終わりなき旅』も演奏されています。

終わりなき旅はMr.Childrenのアンセムであり、最早彼らだけの曲では無いほどに大きな存在です。

けれど本編の終わりをこの『足音』で締め、自分達の意思を強く表した彼ら。
この曲を大切にしているメンバーの思いが伝わってきます。

そして叩き続けた扉は、終わりを迎えようとしています。


夢から覚めた向こう側に

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『I wanna be there』

不眠症になりそうな寝苦しい夜が
ここ数日間続いて あるとき思い立った
似たような瞬間は これまでもあった
でも今回はリアルだ 昨日の自分にさよならさ

長く旅を続けた夢の世界から、現実の世界へ戻ろうとしています。

必要なものを 足りないものを
そうだ そのままに感じること
「生きていること」にもっと感謝して生きていたい

『I LOVE U』で探し回った愛や、大切な物。
水の中でバラバラに散らかったパズルは、そのままの形で良い事に気づけた。

在りのままを受け入れる。そして『生きてる』って実感を大切にする。

I wanna be there
「アホらしい」って もう一人の俺が言うぜ
でも聞こえないんだ今は
I wanna be there
新しい出会いが待っている そうさきっとこの旅路の上で

深海にいた頃の様に、自分を殺める夢を見た桜井さん。
そんなもう一人の自分に笑顔で別れを告げ、運命が導いた新しい人(聴き手との再会)との出会いを確信し歩いていきます。

ツアーでは雨の真っ暗闇の中で、相手の姿は僅かしか見えません。
客席から放たれる小さな一つひとつの光に歌いかけます。


思いが具現化した光のメタファーを頼りに、最後の扉を開けようとします。


旅路を終え、自我と向き合う勇気の歌。
『Starting Over』

あいつの正体は虚栄心?
失敗を恐れる恐怖心?
持ち上げられ 浮き足立って
膨れ上がた自尊心?

それは誰にでもある心の弱さ。自身の自我と対峙します。

さぁ乱れた呼吸を整え 指先に意識を集めていく

『FANTASY』では欲望に負ける恐怖のあまり、全てを撃ち殺し逃げ出しました。

けれど今は自分と向き合う、強い心を持った主人公の姿がいます。

僕だけが行ける世界で銃声が轟く
眩い 儚い 閃光が駆けていった
「何かが終わり また何かが始まるんだ」
そう きっとその光は僕にそう叫んでる

夢と現実の旅を終えた彼は、もう自分だけの世界を知っています。
新しい世界では、きっと新たなモンスター(自我)と対峙する事があるかも知れない。

けれど主人公は『大空に羽ばたく祈り』を胸に、モンスターを撃ち抜きます。



桜井さんはこの未完ツアーについて『Starting Over』の前までは、夢を見ている様なイメージだと発言しています。

女の子(聴き手)は現実での欲望の恐怖に対し、ヘッドフォンで耳を塞ぎ心の中に問いかけました。

夢の中で大切な人(歌い手)と出会い、彼が物語の中で成長する姿を目に焼き付けました。

もうすぐ、この夢は完全に覚めます。

音楽の旅を終えた私たちは、日常という現実に戻った時に何を思うのでしょうか。



音楽の魔法が解け、それぞれの家路につく私たち。



雨の音、駅の雑踏、人々の話し声。
捨てられているゴミ、傘を開く手の感触、信号機の光の色。
ヘッドフォンから流れる音楽、大切な人の顔、明日が来ること。


これは現実か、夢か。自分は何を求めているのか。大切な物は何?

一つひとつの物や出来事から想像し、未来への可能性を繋げる。

『SENSE』と同じように彼らは、自分たちで考え想像してほしいと言っています。


Mr.Childrenという『夢の虚像』が提示してくれるのは、あくまできっかけであり思いの種です。
花を開かせて育てるのは、私たち一人ひとりの手。それが大切な事。

彼らの音楽という物語を聴いて、私が感じた一つの未来。

REFLECTIONが残したもの

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このアルバム程、『全力』という言葉が相応しい作品は無いと感じます。

もちろん音楽性の面では今までのMr.Childrenが伝えてきた、全ての可能性を聴き手に投げ切ったという音になっています。

だからきっと誰の心にも響く物が必ずあり、その景色を広げることができる。

内容も同様です。人間の根源的な欲求や感情を余す所無く詰め込み、一つの物語として消化する。

『SENSE』でも同様に『Mr.Childrenを振り返り、超える』という事をやってきました。


今回はそれに合わせ『より多くの人に伝わる宣伝』『より人の心に響くライブ体験』という付加価値を加えました。

云わば、できる事の全てを注ぎ込んだ集大成となっています。


桜井さんはこの作品を『全部出し切って死んでも良いと思えるような作品』というイメージで語っています。


それは彼らが全ての力を出し切った証。
独立という試練を超えた自信が満ち溢れています。


だからこそ自信をつけた音で原点に戻り、ホールツアーというミニマルな試みをしたのではないでしょうか。


私にもMr.Childrenで好きな作品が何枚かあります。
この作品も順番をつけるとしたら、上の方に位置しています。

きっとこれからも、また出てくるかもしれません。


けれどMr.Childrenの歴史の中で、今後この『REFLECTION』を超える作品はもう出ないのではないかと思っています。

そう思わせてくれる様な仕上がり。
ベスト盤を超えるエネルギーの様な物が、この作品には溢れています。


そんな常識や想像を常に超えてくれるのが彼ら。

だからこれからも、一つひとつの作品とライブを楽しみしていきます。


三部作を呼んでくださった皆さん、ありがとうございました!

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